負けたら“一巻の終わり”のコンペに参加する意味

 コンペ(competition)って

 よく私たちの業界で、受注に競争方式にコンペ(ティション)というのがあります。つまり発注をする際、複数の業者から案の提出を求めて、提出された案の中から最も良い案を選ぶという一連の業務の流れのこと。選ばれた業者のみが仕事を受注できるというもの。業者のやり方によって結果が大きく変わる、建築、広告、デザインなどの分野で多く採用されています。
 つまり、一般競争入札のように最低価格で落札するわけではなく製作に必要な金額を提示する。その分、コンペに参加する業者は仕事を勝ち取るために、コンセプト・企画案をはじめ、デザインラフと作成等の実作業まで行う必要がある。
 
当然1位のみ、2位(以下)じゃダメ。
 これは、私たちのように零細企業にとって相当な負担ですね。ほぼ、受注した場合の製作ライン業務と同じかそれ以上の作業をこなして提案する。しかも1位になって初めて受注できる。「2位(以下)じゃダメなんですか」って当たり前でしょ。スタッフの人件費もそうですが、部分的にでも外注に頼んだりすると完全に赤字だからね。
 
日常業務最優先、時間外手当なし、リタイアなしの条件で…
 でもフジイ企画では、スタッフのスキルアップのために、無謀にも何回か挑戦してきました。ただしエントリーした以上①仕事が入ったらその業務が最優先、②時間外手当なし③リタイアなし…という前提です。こんなの労基法違反ですが、そうでなければ取り組めません。でも落札したら特別ボーナス。
 
しかしこちらも“選考する側”を吟味します
 コンペとはこのような高負担のため、“参加する、しない”を考えるにあたっては、絶対に考えるべき営業スタンスがあります。まず第一に、選考する団体や企業の担当者に「内容を評価する能力があるかどうか?」「ラフ提案内容とは別にかなり低い金額を提示した業者に対してどのような判断をするか?」など、こちらもキッチリ相手を選別してから取り組みます。実際、提案書やラフを既定外に省略してその分単価を1/2に下げて落札したケースも実際ありました。こんなのは論外、コンペではなく価格入札でしょ。ただこちらの見る目(戦略負け?)がなかったのですが…。
 
絶対不利なのになんで参加を?
 そうでなくても実際コンペには“有利、不利”が絶対にあります。ただ不利であっても負担が軽く、何らかのスキルを試す必要がある時、それを好機に参加する場合があります。今回久々に、このような気持ちでコンペに参加しました。それが同友会の『経営指針確立・成文化マニュアル』改訂版。内容は『見積もり価格』と『自社の強みをどう生かすか』というプレゼンテーマだったからです。ちょうどこの春に営業計画を見直したばかりなので、これを発表するいい機会。これならスタッフに負担がかからず、仮に負けても(いや状況的に勝てる公算は低い)意味があると思ったからです。
 
負けても活かせる道があるなら意義がある
 参加してみて…やっぱり。それぞれの会社の印刷方式や単価の出し方、出稿入稿方式の確認など、およそ「自社の強み」とは関係なく、普通印刷会社ならどこでもできるスキルを確認するのみ。各社に対して出る質問も違う。それらについては「こちらもすべてできますよ」…ってとこだけど。フジイ企画のプレゼンは、自社の得意分野と会社の強みを引き出すためにどんな取り組みをしてきたかをレジュメにして報告。でもほとんどそのことの質問がなく、やっぱり場違いだったかな…と。 しかし、これを整理するために2~3日かけたおかげで、約半年論議した営業会議の整理ができ、6月度の編集セミナー(テーマ=「営業計画と広報方針」)のテキストとしても利用することができました。このセミナーの予行演習?のおかげで人に伝える新しい課題も発見、いい勉強になりました。


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