カラー面、モノクロ面の割り振りって意外と難しい!? [編集サロン23]

 11月5日(月)、私たちのお得意様である羽曳野市の小学校PTA広報委員のSさんとMさんが、次号の入稿前のご相談でフジイ企画事務所へお越し下さいました! 弊社が担当しているこの小学校では、これまでずっとモノクロで印刷をしていたのですが、次号より1・4面をカラーで印刷することになりました。今回「どの記事をどこに配置しようか…」ということで、新しい紙面構成についてのご相談でした。

 
主な紙面内容をちょっとご紹介
 ネックは1面と4面という「部分的」カラーなので、紙面の振り分けに関することですね。この小学校のPTA紙はタブロイドの4ぺージ。今回の主な記事内容は運動会特集(写真集)、PTA講演会、PTAに関するアンケート特集など。
 
ん? 結局、モノクロの時と変わらぬ紙面構成!?に
 最初は、今回はカラーだから運動会のような、写真の多い目立つ記事をカラーの面へ持って行こうかというお話になったのですが、そうすると内側の2・3面が少し寂しい感じになってしまいます。逆に、アンケート特集など表・グラフなど「中身を読ませる」記事に関してはカラーである必要がなく、むしろ白黒の方が好ましい場合も…。講演会の様子は記事中心だけどイメージ写真(サロン第20回参照)は大きく使いますよね。…ってことで結局、1面トップはPTA講演会の記事と写真で構成することに…。これって皆様には分からないけど、モノクロの時のレイアウトと基本的に変わらなかったのです。
 
カラーかモノクロかという意識より「全体の紙面構成」をまず検討
 カラーと白黒が混在する紙面の場合、判断材料と選択肢が複雑で、より記事の内容や性質をみて、レイアウトを判断しなければならないのですね…。でも、そもそも紙面構成を企画段階できっちりとバランスが取っていれば、突然カラー化となってもあまり難しくなく、結局良い紙面ができるということを、打ち合わせに出席しながら私自身も学ばせて頂きました。
 
 今回、広報担当のお二人とお話する中で、「いいものを作りたい」という熱意がとても伝わってきました。我々もその気持ちに応えられるよう、精一杯頑張ります! な)



写真アルバム?になった「特集面」を考える [編集サロン22]

20121029

 『イメージ写真』と『スケッチ写真』の違い、おさらい

 再度再度、写真中心の特集面のお話。第20回サロンで『イメージ写真』と『スケッチ写真』のお話をしました。フジイ企画流カテゴリー分けで言えば、報道記事に使用されている写真は基本的にイメージ写真。じゃあスケッチ写真は何?ということで、学校でいえば『運動会』『文化祭』など、組織のイベントの『記録=写真集(アルバム)』だと簡単にお話しました。
 
写真特集は他の記事とは「ちょっと違うもの」として!?
 まだちょっと分かりづらいかもしれませんが、私たちの立ち位置をお話しますと『イベント写真集(複数写真)』(=スケッチ写真)などの特集記事が入稿した場合、その時点で私たちは報道(新聞)記事・写真(=イージ写真)と区別しています。つまり、新聞ではなく別発行の『卒業アルバム』や『イベント報告集』のような単発の『記録集』の集合体になったと解釈しなおして、「ちょっとちがうもの」としてレイアウトします。
 今回はこうした「ちょっと違うもの」として捉えた特集面も、紙面の性格によって、さらにレイアウトの基準が変わりますよ…というお話です。
 
写真でメリハリつけれらない場合は…
 前回『イベント写真(スケッチ写真)集』はメリハリ(大小強弱)をつけてより臨場感のある紙面上のレイアウトを考えましょう…とお話しましたが、これは全ての写真主流のページに当てはまるでしょうか?
 同じ複数写真を使用した写真集(特集)でも、写真でメリハリ(大小強弱)をつけたらまずい写真がありました。例えば『スタッフ━それぞれの職場紹介(写真集)』、『参加者全員の横顔特集』、『みんなの意見━対談集』、『卒業生全員集合━それぞれの一言』など。レイアウトがかりに平板に感じたとしても、写真で大小をつけたらまずいですね。
 
ここは編集者の見識をもって見出しで勝負
 編集者(デザイナー)は自己都合で意味なく差を付けるのはNG。同等に扱うべき内容で大きさなどに差があれば、読者は意味を求めます。つまりは記事の内容と写真の扱い方に見識ががないことはしてはいけません。じゃあこんな場合どうしますか? 全体をバランスよく見渡し、2:1:1の黄金律(サロン1)を考えて、やっぱり見出しで勝負するのが一番ですね。
 
★★★★
 秋が深まってきましたね。もうすぐ紅葉が見られる季節になりました。この間、当社では色々な小さな取り組みがあってこの『サロン』もしばらくご無沙汰でした。すいません。皆様のご質問を中心にこれからもこれをメインに続けます。『肌で感じるセミナー』ともに、よろしくお願いします。



第2回『肌で感じる「広報紙」編集セミナー』を開催しました

  昨日(10月25日)の18時から約1時間、フジイ企画にて第2回目の『肌で感じる「広報紙」編集セミナー』を開催いたしました!

 今回は、当初6名の予定でしたが、当日・前日3人の方がキャンセルされ、3名という少人数だったこともあって、セミナーと言うより交流会(お茶会?)という感じで、皆さん初対面にも関わらず始終和気あいあいと語り合えたと思います。
 
 
1つ目のテーマは「広報紙を『楽』に発行するなら発行回数『増』やしましょう」でしたが…
 このテーマは発行計画のお話で、ズバリ年3回ぐらいの発行より毎月発行のほうが、中身の充実もさることながら、何より『楽』ですよ!という内容でした(そんなばかな!とお思いかもしれませんが…)。今回は参加者の中に広報紙を実際に制作されている方がいらっしゃったこともあって、このテーマで盛り上がり、これだけで予定時間を大幅にオーバーしていまいました。
 他に2つ、「縦組みと横組みの違いって?どっちがいいの」と「見出しに『!』『?』をつけちゃだめなの?」というテーマをご用意していたのですが、後半は駆け足でダーッと流す感じになってしまいました…。次回からは、皆様のご要求に応じてテーマを絞り込んでみたいと思います。(ま)
 
 今回の参加者を簡単にご紹介しますと、facebookセミナーでご一緒させていただいた英語通訳案内士でオンラインショップ経営の内原様、当社のお客様『月刊建設ひょうご』担当の横山様、そして建設コープの細川様は前回に引き続き2回目のご参加でした。
 
参加者の皆様の感想から
●紙面を作成するにあたり、連載物が多いとパターン化され、機関紙がつくりやすいことがわかりました。また文中に「!」「?」を入れる場合は、一マスあけることも確認できました。
レイアウトについてもっと詳しく学びたい。
想像以上に深いお話しに感動しました。特に①見出しのつけ方②読者からの反応のとり方については参考になりました。
 
次回開催予定は11月21日(木)18:00~19:00です
 元々は、当社ブログ『肌で感じる編集サロン』からはじまったこのセミナーですが、少しづつ「サロン」感がでていければいいなァと思っています!
 次回は11月21日(木)18:00~19:00で開催予定です。疑問点などありましたらこの機会にお話ししたいと思います。詳細は追ってブログ・Facebookにてご案内いたしますので、お気軽にご参加くださいね!(参加費無料)


「紙面のカラー化」にちょっとひとこと [編集サロン21]

 定期刊行物を発行されているお客さまから「今、白黒で発行してる印刷物をカラーに…」というご相談を受けることが多くなりました。これまで、モノクロ(白黒)印刷で発行していた広報誌も、小ロットのオンデマンド印刷も発達したおかげで、カラー化が進んできました。でも…。

世の中はカラーが当たり前になっているけど…

 カラー印刷に変更して一番効果を発揮するのは、何といっても写真ですね? 世間的な面から考えれば、もはやモノクロ写真は現像してくれる会社を探す方が難しく、世の中カラーが当たり前になってきています。そこで広報紙も当然「カラー化」に、ということになるのですが、ちょっとここで考えてみましょうか。

 
撮った写真をどう料理しましょう…「イメージ」「スケッチ」のお話
 前回(第20回)の編集サロンで写真のお話をしましたね。紙面のカラー化はこれと関係するのでもう一度…。同じ写真でも二種類の使用方法があるとお話しました。一つは「イメージ(写真)」もう一つは「スケッチ(写真)」。この二つの価値判断の違いは写真の種類の違いはではなくて、編集方針によって決められるとお話しました。つまり取材内容や編集方針によって同じ写真を使用しても、料理の仕方で「イメージ(写真)」にも「スケッチ(写真)」にもなるということですね。
 
写真集のためのカラー化は有効だけど
 端的に言ってしまうと、価値判断を、写真を記事の中の1つのツールとして使用するのか、単に写真集にしてしまうのか、ということです。そこで、新聞でも『これは写真集です』という位置づけにすればカラー化は非常に有効です。つまりやカタログ、パンフレット類、あるいはアルバムなどと近い考え方ですね。これらのツールは今や、カラー以外には考えられなくなっていますよね。これは『絵』で見せるというのが基本だからどうしてもビジュアルの美しさが要求されます。
 
広報「発行の目的」に立ち戻って考えると
 これとは別に、広報という視点から、使用写真や文章を記事の中のパーツとして明確に位置づけた時、一番大事なのが紙面を「読んでもらう」、それによって「活動(動き)を知ってもらう」「コミュニケーションを円滑にする」などが、他に先んじて主な目的になります。その場合、紙面のカラー化という以前に、本当に写真の扱いはこれでいいのか、「写真集」でいいのか…ということが大きな論点になります。
 
カラー印刷と広報効果は関係ありません。
 その視点から考えると、記事で読ます(文字中心)の場合、写真であってもカラーにすると読みにくくなったりする場合があります。新聞形式の場合はその判断は結構微妙です。文章中心のページ物などはある程度のデザイン処理が必要な場合でも、読ませるという意味ではカラーの効果はあまり期待できません。長文の書籍本文に至っては目移りする(読みづらい)ので、私たちは今でも色は使わない方がいいと考えています。
 
 でもこの判断は微妙で一概には言えませんので、最初に何を伝えるべきなのか…編集方針に立ち戻って考えるべきでしょうね。要はカラーにすれば効果が上がる、見やすくなるというわけではないのです。
 
 なお、次回の「肌で感じる編集セミナー第2回」は10月25日(木)18:00に開催します。興味のある方はどなたでも是非ご参加くださいね。
 ご参加方法は→■『フジイ企画facebookページ』 『広報紙コンクールに入賞!! 一緒に作るpta広報製作室(大阪)』の2つのページにまず『いいね!』していただき、メッセージ機能で「出席希望」としてご連絡先(メールアドレス)をお書き下さい、メールで申込用紙を送らせていただきます。



報道の視点から考える『スケッチ写真』と『イメージ写真』 [編集サロン20]

  前回、紙面における、写真、見出しの割合についてのお話をしました。今回はちょっと踏みこんで、その中での写真の扱いについてのお話です。写真を通じて何を読者に伝えるかということで扱いが変わってくるというお話です。簡単に言えば文章中心か写真をメインにするか…!

 
『イベント写真(スケッチ写真)集』はメリハリつけて
 たとえば学校新聞などで体育祭、文化祭の記事があったとして、そのイベントの中身の報道する場合、結構お客様は「写真アルバム」なみに様々なシーンの写真を多用するということが多いです。私たちはここで使用する写真を『スケッチ(写真)』という呼び方をしています。この場合、全体の中で躍動感のあるシーンの写真を数点選んで使います。当然メインのアイキャッチをどれにするかを決めてバランスを取ります。
 
『編集方針』からの写真の選び方とは
 でもこれとは違って、この文化祭や体育祭のあり方やイベント内容に言及した記事を掲載する場合どうでしょうか? 例えば記事内容が「参加者が少なかった」「イベント内容が最初の趣旨にそぐわなかった」などの課題報道、また意見欄・アンケート集約・論評など文章中心の記事。そんな場合でも写真を使いますか!? 
 
写真を記事内容に合わして「イメージ化」する
 第一回セミナーで文字・写真・見出しの紙面での割合のお話をしたのですが、写真を使っていただきたいのはむしろこちらの方です。文字原稿に力を入れた分「読みづらい」紙面になりがちなので、「文字:写真:見出し=2:1:1」の基準で、ここでは写真と見出しをセットに考えて1:1とした方がいいかもしれません。私たちはこういう写真をスケッチと区別して『イメージ(写真)』と呼んでいます。(あっ、このカテゴリー分けもフジイ企画流で、一般的にはどう呼ばれているか知りません)
 
 究極は『スケッチ写真』じゃなく、意図を持った『イメージ写真』に! 
ただ誤解があってはならないのですが『イメージ(写真)』といっても、実際、報道用に撮った写真を使用することに変わりはありません。ただ、写真の扱いに編集方針の明確さを加味する(イメージ化する)作業が必要だということで、少し高度な判断=感性がいるかもしれませんね。でも様々な出来事に人の思い(考え)や情感を総合的に伝えるという視点から考れば、「写真集」として写真を並べるより、一歩進んで他の原稿と一緒に写真も絞り込んで、考えさせる紙面にしていきたいですね。
写真は学校PTA新聞(当社お客様)から引用



フジイ企画で第1回『肌で感じる編集セミナー』を開催しました

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 昨日(9月25日)の18時からおよそ1時間、当社にて第1回目の『肌で感じる編集セミナー』を開催いたしました。このセミナーは既報の通り、この春、当社ブログ=facebookにて連載でスタートした『肌で感じる編集サロン』の小冊子発刊記念として、広報紙の編集をより「肌で感じて」いただこうと企画したものです。(な)

はじめての取り組みで緊張しました
 今回は連載1~3号の中から「紙面における文章・写真・見出しの割合」「記事に見出しをつけよう」「写真はたくさん撮をテーマにってトミング」をテーマにお話しするという流れで行いました。
 セミナーの進行は小冊子の内容を実例を交えて解説するといった形式で進めました。ただ初の取り組みなので、このやり方でよかったのかと少々不安でした。セミナー後、皆様から感想をいただき、「読むだけでは分からない事がよく分かった」「参考になった」と、嬉しいお言葉をいただけたので、とりあえずホッとしております。

ご参加の皆様の横顔
 ちなみに第1回目セミナーには5名のお客様がご参加くださいました! 今回は少しだけご紹介しますね。私たちのお得意様である羽曳野市の小学校PTA広報の杉本さん、自分で広報紙を発行されている建設会社の細川さん、また私たちのfacebook研究仲間である藤川さんと松山さんといった方々です。そして、このセミナーまでの流れに導いて下さった金山先生にもご参加いただきました。皆様ありがとうございました。

セミナーとブログの連携で皆様のご質問に応えます
 今後、今回の経験を踏まえて中身の充実を図るとともに、セミナー中に出た皆様のご質問など、お話できなかったことなどをブログ『肌で感じる編集サロン』にてご紹介・ご回答していけたらと思っています。
 また、来月(10月)の25日には第2回目のセミナーを開催する予定ですので、今回参加できなかった方、広報紙発行にご興味のある方など(人数に限りはありますが)どなたでもご参加ください。参加費は無料です。プログラムや参加方法についてはFacebook、ブログなどで逐次ご案内させていただきます。 

『肌で感じる編集サロン』小冊子を無料でプレゼント中
 現在連載中の『肌で感じる編集サロン』(6月スタート分から8月27日分)の記事を小冊子にまとめた「限定版」として無料でプレゼント中です。セミナーにはこの冊子を使用しますので、ご希望の方は下記の方法でご連絡ください。
『フジイ企画facebookページ』 ■『広報紙コンクールに入賞!! 一緒に作るpta広報製作室(大阪)』の2つのページにまず『いいね!』していただき、メッセージ機能でご連絡先をお書き下さい!



1面トップに「ごあいさつ」なんかいらない!? [編集サロン19]

20120911 いろいろな(新聞形式の)広報紙を見ていて、やたら多く目につくのが、一面トップに「ご
あいさつ」が並ぶ紙面です。出だしからまず会長のごあいさつ、次に副会長のごあいさつ。順番もエライ方からというように…。
 
「1面あいさつ」は本当に紙面のメインですか?
 誤解を恐れずに言えば、1面「あいさつ集」はよほどの内容でない限り読み飛ばされやすく、全紙面の印象を固くしがちです。編集方針にも関係することですが、「あいさつ」は紙面のメインではないケースがほとんどなので、できるならめましょう。新聞は雑誌のように、一つの要素でページ完結するようなものではなく、記事の配列や順序にちょっと高度な「編集者判断」が必要となるとお話しました。
 
新聞紙面に「慣例的」順序は必要ありません
 新聞紙面の特徴とはなんでしょうか? 一つの紙面に様々な要素の記事が掲載されることですね。細かく見てみれば報道記事のほかに、コラム(署名記事)、告知文、写真集、あいさつ文のほか、小説・詩など要素の違った記事が混在していて、そういう意味ではちょっと特殊なメディアかもしれません。
 書籍 籍雑誌の場合ならページが基本単位になっていますから最初にご挨拶があってもあまり違和感を感じません。読者は目次をみたり、いきなり繰ったりして、すぐ読みたいところにページ移動しするからです。新聞の場合はページ建てが少ない分、1面が全紙面へ大きく影響します。つまり雑誌や書籍のように、最初にごあいさつがあって、目次があってという『講演会のプログラム?』のような紙面順序に全く意味がありません。
 
トップ記事は全紙面を通じて一番伝えたいことをビジュアル表現で
 それどころか1面というのは、明らかにその紙面の顔になります。読者が手にとって一番最初に目にするページです。([編集サロン17.18]でもお話しましたが)題字もしかり、その号の全記事を通じて一番伝えたいことをトップにするべきですね。特に「アイキャッチ」といって、写真やイラストで眼で読者を引き付ける工夫が特に1面では重要です。そこでの印象が全紙面の印象となって確定することになります。
 
どうしても…の時は、ちょっとした工夫を
 ただ、理屈は分かっても、これまでの慣習を止めるのは、勇気が…という場合もありますね。方針を変えるにはコンセンサスの問題もあります。そこで究極、1面で「ごあいさつ」をどうしても読ませたいのであれば、、印象的・今号の紙面に象徴的なアイキャッチ時事原稿(写真・イラストのエトキ記事=写真説明)とセットして、配置しましょう。そういう工夫で、写真記事⇔挨拶記事を相互補完する効果があります。(イラスト左)
 
 誤解を避けるために申しますと、「ごあいさつ」が不必要だと言っているわけではありません。発行意図や発行者の思いを伝えるのも広報紙の大きな役割です。それは紙面構成でより読まれやすい工夫があって、実は本当はそこが編集者の力の発揮しどころなのですが、そのお話はまた別の機会に…。

【お知らせ『肌で感じる編集サロン』小冊子を無料でプレゼント中
 現在連載中の本タイトル『肌で感じる編集サロン』(6月スタート分から8月27日分)の記事を小冊子にまとめました。「限定版」として皆様に無料でプレゼントしています。
 なおこの小冊子は、9月25日(火)よりスタートする『肌で感じる編集ミニ講座』(無料)のテキストにもなりますので、ぜひこの機会にお申し込みください。お送りさせていただきます。
ご希望の方は下記の方法でご連絡ください。

『フジイ企画facebookページ』 『広報紙コンクールに入賞!! 一緒に作るpta広報製作室(大阪)』のページに『いいね!』していただき、メッセージでご連絡先を! 
 (また当社HPの『なんでもメール』や、メールinfo@fujii-net.com、お電話でも受け付けます。)


『題字』は紙面全体を考えて…プロでも陥る落とし穴 [編集サロン18]

20120904  前回に引き続いて『題字』についてのお話。広報紙の『題字』とは、ネーミングとロゴデザインをセットにしたもの…というお話をしました。題字を作成するとき、担当者はまずロゴデザインに加えて題字全体のデザインを考えていきます。書体はこれで…背景は?…イラストも…と。練りに練って出来上がった渾身の一作。「これいいやん、すごく迫力あるね」。でもちょっとまって! それが結構、お客様に却下されることが多いのです。なぜ?(ま)
 
この題字「編集者泣かせ」になってませんか?
 上の写真の題字(=「元気ふれあい…」)は、実際デザイナーが作成してお客様に提案して却下されたものをパロディにしたものです。(実物は全1段[横長]なのですが、出所がバレてしまうのと、いい写真がないので変形しました。あまりよくないかも…)
 このデザインって、よくよく「編集者泣かせ」ですよ。何が言いたいのかというと、ちょっと目立ちすぎ!? この題字で1面トップの記事内容を読者に印象付けようとすると、編集者は毎回大変な「技」を必要とします。
 
紙面における『題字』の役割をちゃんと理解して!
 紙面で一番に伝えたいのはタイトルではなく、(トップ)記事の内容です。もちろんタイトルを覚えてもらうのも大切ですが、タイトルがトップ記事の見出しと相殺されるのはよくありません。目立ちすぎる題字にしてしまうと、編集者(整理記者)は毎回それを超えるさらに目立つ見出し・デザインを考えなくてはならず、記事とは違う印象になったり、(ヨコ見出しが使いにくいなど)割付の自由度が狭まってしまうのです。新聞では題字製作者(デザイナー)が、読者はもとより記者や編集者の立場、紙面における題字の位置づけを理解して製作しているかというのが大きなポイントになりますね。
 
ベテランデザイナーによくある『自己完結型』!?
 グラフィックデザイナーで週刊誌、書籍等の表紙デザインの経験ある人でも、新聞は初めて…とかの方も結構多いのかな? デザイナーさんはともすれば、自分の担当したスペース内でのバランスで完結してしまうことが多いのです。普通はそれが当然で、例えばチラシなどは、一人のデザイナーが必要なデータ・アイテムを使いきって全体を構成していきますね、週刊誌の表紙もページ完結なので、あまり気にならない(むしろ優れている)。だけど多種の要素を盛り込む新聞で、同じ判断で仕事をされると困ります。(微妙な差は難しいのですが)これ、デザイナー歴『ん十年』という人でもよくあることで、私たちはこれ『自己完結型』(フジイ企画用語?)と呼んでいます。
 
『発行者』は、自分の媒体全てを把握してます
 怖いことに、(フジイ企画の)お客さまはそういうことは瞬時に見抜きます。もちろんお客様はレイアウトやデザインはしませんが、『発行者』であり『執筆者』でもあるお客様は、即「勘」で判断して『この題字、前のに戻して!』とか、ポンと言われてしまいます。
 理屈抜きで判断されるので、デザイナーさんからすれば「これだけ考えたのに…デザインの価値が分かっていない」ともめることになるのです。でもディレクション能力のある人なら、これは「デザイン力」の問題ではなく、広報物全体の構成に関係することだと理解してますから、お客様に提案する前に『通訳?』して修正を求めていきます。(お客様は発行主体なので、当然、自分の紙面の位置づけをしっかり把握していますよ。)
 
 前回「題字は安易につくらず、納得いくまで…」というお話をしましたが、一歩進んで、つまり単一アイテムで考えるのではなく、『題字』作成は紙面全体を見渡せる編集者(エディトリアルデザイン)の視点が一番大事だということですね。



『題字』は『大事』、安易に変えないでね、[編集サロン17]

 

  広報紙・機関紙を作るとき、「○○通信」や「○○だより」など、名前(タイトル)をつけますね。その名前とロゴデザインをセットで私たちは『題字』と言っています。

 私たちが発行する広報紙のネーミングが決まったら、紙面のイメージに合った『題字』のデザインを考えていくのですが、『題字』は一度作ったら基本的には変更しないというのを前提にして考えていきます。
 
 皆さんの広報紙の『顔』に磨きを
 広報紙というのはテーマに沿った定期発行が原則ですので、『題字』は今後その広報紙の『顔』となります。そのため、紙面そのものを覚えてもらえるまでは、紙面の規格(サイズ)、題字の文字デザイン(タテ/ヨコ、大/小を含めて)変更しないのが原則です。
 そのため『題字』に関しては最初の紙面企画と同様に、セットで考えていくべきで、これから構成するであろう、いろんな状況を考えながら、納得いくまで何度も時間をかけて検討したいところです。
 
 安易なイメチェンは『信用力』低下?
 よく色々な広報を見ていると、ネーミングこそ変えていなのだけど、題字のタテ・ヨコの変更や、使う書体など、その時々紙面の都合で結構安易に変えられているケースが目立ちますが、これはあまりおすすめできません。題字の安易な変更は、発行趣旨のブレや方向性の変更と捉えられやすく、極端な話では「読者離れ」につながってきます。
 

 タイトルロゴもブランドになれば読めなくてもいいの…!?

 ところで話は変わりますが、書店に並んでいる雑誌、特に女性のファッション誌では『タイトル文字(題字)』の上にモデルさんなどの頭がかぶっていることが普通になっていますね。中には4分の1しか見えていなくて、もうほとんど読めない!っていう場合も多いです。これってどうなんでしょうか?
 
「週刊フ○画」はどうなの!?
 表紙(銘柄?)を選んで買う人が多いから、ブランドに相当な自信を持っていて、中身勝負ということでしょうか…? でも、欲しい雑誌が決まっていても、結構探しづらい~!
 これ、たとえば「週刊フジイ企画」(写真のイラスト)だったらタイトルを読んでもらえるでしょうか…ね?(ま)



編集者は常に『読者』の目線で [編集サロン16]

20120821_01  新聞社では取材・記事執筆→編集整理(レイアウト)という流れの中で、最低二人の人が関わっています。原稿は取材各部(社会部、政治部など)の記者が書き、見出し・レイアウトは整理記者(整理部、編集部)というように役割が完全に別れています。
 取材記者は自分の執筆した記事を「見出しを付けずに」文字原稿だけ(「捨て見出し」といって記事の分類用のタイトルをつけることはあります)を整理部(整理記者=編集者)に渡すことになります。ここでの整理記者の仕事は記事の重要度を自分で判断し、トップ、サイド、あるいはボツ…と決めること。そして決めた記事の中で、どの部分を見出しにするのかを考え、またレイアウトを考えるというのが仕事です。
 
取材記者は見出しをつけない(つけてはいけない)
 ではなぜ取材記者は見出しをつけないのでしょうか。取材記者は現場に行って取材し記事を書くのが仕事ですね。いわば細部に至るまで生々しく現場を知っているということになります。つまり「足で稼いだ」内容のある記事であるほど、記者の思い入れが強いということなのです。思いれが強すぎると、ともすれば読者と記者の立場の違いが乖離してしまうということが起こります。その緩衝材として整理記者(編集者)が「第一読者」として中に入るのです。つまり単純に役割として「しない」のではなく、「させない」システム自体が編集者の仕事となっているのです。
 
「編集者によって紙面は変わる」責任は重大ですね。 
 整理記者は取材各部の記者から集まってきた原稿を、見出しをつけたりレイアウトデザインをしたりして実際の紙面をつくる。ここで重要なのがいわゆる『読者の視点』なのです。編集者は取材記者が書いた記事を、見た瞬間から「読者の視点」でと捉えるということになるのですが、発行者として何を伝えたいか、また読者にとって何が知りたいかを考え調整する。
 当然ですが整理記者(=編集者)には取材記者が書いた記事に対して加筆、訂正する権限はありません(割愛することはできる)。また記事に書かれてない見出しをつけてもいけません。ですが記事のポイントをどこに置くかは整理記者(=編集者)が決めるので、整理記者の責任は重大ですね。[ミニ講座9] 、[ミニ講座11]でも書きましたが、見出しの力点の置き方(価値判断)だけで紙面の見え方がまったく違うということも起こります。つまり、すごく主観的な判断になります。
 
広報委員同士で見出しを付けあいましょう
 さて、私たちに立ち戻って考えた場合、書き手と編集者が結構一体なわけで、自分の書いた文章に自分で見出しをつける場合、この「読者の目線で」というのが一番難しいのではないでしょうか。先ほども述べたように見出しには、記事にない文言を使用してははいけません。「自分は詳しく知っていることだから」とうっかりやってしまいがちですが、それなら記事でしっかり書きましょう。広報紙を数人で発行している場合、広報委員はしっかり他人の文章を読んで、お互い違う視点から「見出し」の付けあいをしたらいいと思います。とにかく広報誌は多くの読者に伝えることが使命です。そのためには『読者の目線』を常に意識しながら作ることが大事です。(ま)
 
 ちなみに、フジイ企画のこのブログも、基本的に本文・イラスト・編集と別のスタッフが担当しており、見出しやタイトルは編集の段階で付けれられます。なので文字通り編集され、最終的に全く別の切り口のブログになっていることも実はよくあるのです。
 
 きのう報告いたしました通り、「編集何でもミニ講座」で続けてきました当コラムの名称を、当方の思いと内容に合うように服装(タイトル)のみ新調させていただきました。ただ内容と切り口は当面同様なので通番にて進めていきたいと思いますので、皆様のご意見ご感想をよろしくお願いいたします。