共感をよぶ真実の話を探そう【第5回紙ブログ新聞セミナー2015より】

成果に至る道は失敗で彩られている!?

DSCF615tate 前回のセミナーでは「機関紙・企業紙でも事件記事を書け!」というちょ月っと過激なタイトルでやりましたが、要は、成功があればそれと同じ数だけ失敗があったということですね。そこを書くことによって、今の成功(成果)に価値がでてくる。いいかえれば様々な失敗から得られる教訓が、読者の共感を呼ぶということですね。

自分たちに起こったことにどう対処したかが大事
 これは単に紙面効果として「読者の気を引く」、読んでもらえるということだけではなく、組織の見直しや業務改善につながるというお話でした。こうした事件・事故をPRの手段につかう手法を最近の経営学では『ストーリーマーケティング』というそうです。自らに起こった出来事とそれにどう対処したかを語る。今回(6月26日)は実際起こった出来事を洗い出してみつめ、それをどう扱うか、つまりストーリーテリング=物語ることについて具体的に考えてみました。

「うちの会社にはそんな大層な話はない」という前に…
 色々な広報紙や経済新聞を利用したストーリーマーケティングの一般的な事例としては『企業の文化を物語で表現』『創業物語で経営者を神格化』『開発秘話物語』などがありますね。経済雑誌や新聞によく掲載されているので、皆様も読まれたり見られた経験があると思います。「うちの会社(コミュニティ)にはそんな大層な話はない」と言う前に、まずいままでやってきたことのおさらいを。

どんな商品(サービス)も最初は「思い→言葉→成果物」です
 第1回セミナー「言葉から創造がはじまる」でも.述べましたが、どんな非営業職であれ、会話を必要としない一人親方の職人であれ、全てのはじまりは『言葉』です。つまりいかなる創造も頭の中にあるアイデアを出すことからスタートしています。そのアイデアはは全て言葉に変換されて出てくるんですね。共同作業ならなおさらです。「こうだ」「ああだ」(独り言でも)から始まって絵に描く、図に描く、そして文章に書く。だから皆様の結実である今ある商品(サービス)は必ず言葉としてのストーリーがある(あった)はずです。それを整理するのが今回のテーマです。

今までの様々な記録や出来事をストーリー展開のための要素に分解
 第2回セミナーの「普段の手帳と日報から広がる世界」でやったことですが、まずは各種の記録を洗い出して、整理していくことから始めます。具体的には受発注伝票、入出金伝票、営業日報、業務・開発記録や議事録。個人では手帳やメモなどです。

 今回はそれらの出来事やイベントを集めてそれらを各要素別に分解して一覧にしてみました。その要素を今回は4つにしぼり、
①まず出来事や製造記録を書く、②経過1(うまくいったことやプラス要因)③経過2(失敗したことや課題)、④ポイントになる話題、ノウハウ、エピソード…を埋めていく作業をしました。最後に(⑤として)それを記事にするかしないか、とする場合はその狙いを書く。日常活動の一端から始めましょう。
【具体例1】
①出来事=○月○日、初めて落札した仕事の初会合(初顔合わせ)で市役所へ
②経過1(うまくいったこと)=初めてでも、過去に実績があったため友好的に話が進んだ。(初期は険悪ムードで契約違反と言われたこともあった)
③経過2(失敗したこと)=スタッフ同士の待ち合わせ場所の認識違いで遅刻した。
④エピソードなど=担当の係長は仕事以外でグルメの話が好き。
(⑤=記事にする。狙いは…)
【具体例2】
①出来事=新セミナーテキストを作成中  
②経過1(良いこと)=今年は年間のテーマを決めていたのでまとめるのはスムーズ
③経過2(課題)=タイトル案が難しい。過去のテーマを盛り込むとなると要編集(時間がかかる)
④エピソードなど=セミナーの中のお客様の話は具体的なので現実的で面白い。
(⑤=後に記事にしよう。狙いは…)

広報効果以上のことが起こる
 今回はこの4つ(表項目は5つ)について行いましたが、それらの要素をつなぎ合わせて成果を語っていくのです。やり方と項目立ては色々考えられるので工夫して表を作ってください。この作業は広報効果だけではなく、指針づくり、モチベーションアップなど、思わぬ効果があるということはこれまでお話しした通り、組織全体が○○ゾーンに入るステップかも…。
写真=新しいセミナーテキストのラフスケッチです。まだ編集中ですが9月までには完成します。

 

 



機関紙・企業紙でも事件記事を書け!【第4回紙ブログ新聞セミナー2015より】

様々な失敗から得られる教訓が共感をよぶ

読者は常識から八ズレていることがお好き!?
0612blog第4回セミナー報告 今回のテーマは「機関紙・企業紙でも事件記事を書け!」。ちょっと過激なタイトルですね。世の中の人は『社会ネタ(事件記事)』が結構お好きです。常識外れの事件、事故や、自分の身の回りで起こりうる〝最悪?〟の記事を好んで読んでいます。〝政治ネタ〟も〝経済ネタ〟も〝スポーツ〟でも同様に、理想とされる状態から軋(きし)んでいることに人は興味をもつようです。今回はこの『軋み』を扱うことがテーマです。

コミットメントが必要なワケは
 前回のセミナーでは「広報紙はコミットメント(読者への約束、宣言)ツールになる」ということを学びました。今回は、じゃあ「なぜコミットメントが必要なの?」。つまり読者(お客様)に対してコミットメントしなければならない元の原因を扱おうということです。ここをハッキリさせなければ、読者が寄り付かない「発行することだけが目的」の自己満足新聞になるというお話です。

なぜ、記事が〝軽~い〟広告用キャッチコピーになってしまうのか?
 例えば「お客様の安全・安心を第一にします」が会社のモットーだとするなら、それを経営理念としたワケがあるはずです。例えば、過去にちょっとした経費節減のためにお客様の安全を犠牲にした…とかね、ヤバイ話!? これは極端な例ですが、この「安全…」という方針や理念を作った根拠、つまりその象徴的出来事から新しい到達点へのプロセスを明らかするのです。そういう出来事(事実)と向き合って解決したことこそが記事の価値なのです。ここを抜きにすると軽~い広告用キャッチコピーになってしまいます。

『理想の状態』でないことがポイント
 社会の様々な営みに対して『理想の状態』を設定すると、そこに至っていない課題がすぐ表れてきます。つまり企業でもコミュニティでも個人でも、ことの大小はあるけど、活動していれば毎日のように問題が起こってますよね。伝達や解釈ミス、日程遅れ、もめごとや事故など。もちろん起こらないにこしたことはないですが、でも逆に言えばそんな『理想でない状態』があってこその工夫、向上のプロジェクトが成立するのです。

これまで起こった『事件簿』は組織の〝宝物〟です

 でもこれを書くって逆にイメージダウンじゃないの? そうですね。当然そうならないための基準は必要です。まずは「クリア(解決)したプロジェクト」だけを書く。普通(世の中と向き合っている)企業や組織なら、ミスやトラブル、様々な課題はその時々に解決し教訓としているはずですね。「起きた出来事をどう処理してきたか」の記録・記憶の数々が、その組織・会社のノウハウやスキルの本質なのです。つまりこれらの『事件簿』こそが実は組織の宝物。俗に言えば優れた『ネタ帳』なのです。

出来事の処理のプロセスに共感→信頼が
 そんなプロジェクトの始まりと到達点を記述できた時、読者(お客様)に対して「この失敗はもう二度と起きません」「私たちは○○です」というコミットメント(=宣言)になるのです。同じ失敗を起こしてしまうと逆効果になってしまうのですが、そのことも視野に入れて「隠さず」コミットメントするということこそ、読者(お客様)からの共感から信頼、さらに応援へと発展していくことになります。

〝書く〟ことで混沌から創造へ、広報効果を超えて
 こういった記事(=コミットメント)を日常的に発信するのに最適なツールが、実は広報紙なんですね。これが商品チラシとは明らかに違うところ。こうした視点に立てれば、ストーリー性のある記事ネタがたくさん転がっているはずです。それをすくい上げることは、実は広報効果どころか、組織全体のスキルアップ、企業文化の創造にまで発展します。つまり新聞(広報紙)づくりは、基本理念やマニュアル整備への一里塚。今は混沌状態でも、まず書くことからスタートしましょう。

 第4回目のセミナーは5月29日の開催予定でしたが、参加者のご都合により6月5日(金)に日程を変更して開催いたしました。当日は常連参加の細川さんのほか、ちょうどこの夏のインターンシップの面接に来社されていた大学生も飛び入り参加、新鮮な雰囲気のなか進行しました。雨の中のご参加、ありがとうございます!

 



原稿出稿時の3つのお客様タイプ【編集サロンです】

プリント新聞組版は複雑!? 皆さんに必要なフォローは?

 きのう(5月20日)は紙面を見る『視点のちがい』というお話をしましたが、当社のお客さまフォローのスタンスは、あくまで編集者の視点=読者の視点を大事にすることです。でも実際の受注状況はそうしたフォローが必要なお客さまとそうでないお客様がいらっしゃるので、当社では、お客様の原稿出稿のタイプを3つに分類しています。これは社内基準なので、いつもお伝えしているわけではありませんが、皆様の意図と要求を当社スタッフが的確に把握するためです。皆様にもご参考のために…。

当社の原稿出稿の3つのパターン分類
A分類(完全レイアウト)
  専用の割り付け用紙に、字数や写真の寸法も計算した割り付け用紙を原稿とセットで出稿されるケース。昔はこれが基本でした。今でもそうですが、印刷会社は基本的にお客様の指示のない作業はできません。だから新聞社や出版社は、専用の割り付け用紙に、レイアウトデザイン、字数計算、写真寸法などを設計図(割り付け用紙)に書いて原稿と一緒に提出します。
B分類(基本的紙面イメージあり)
 基本的な割り付け(レイアウト)表の指示、つまり記事・写真のページ割と簡単なレイアウトはあるけど、それに従ってある程度お任せのパターン。中には多少詳しい指示がある場合もあります。当社はその指示をあくまで基準にレイアウトしていきます。
C分類(ページ割のみあり)
 紙面割表(ページ建て)表もしくは、レイアウト用紙にページ建てと順序、使用写真点数を記してあるタイプです。当社はその紙面割表に従って紙面割と写真、文字数計算して割り付けレイアウトをしていきます

編集セオリーに従って、レイアウト用紙に向かうAタイプ
 A分類の場合、お客様の指示に対する当社のアドバイスは基本禁止として扱います。この形式で出稿されるお客様はプロの出稿形式ですが、必ずしもそうではなくて、学校の新聞部やPTA広報でもコンクールに出展する場合など、自ら学んだ編集セオリーに従って独自に取り組むことに意味を見出しているからです。こんな場合、当方は意見を述べることはあっても基本割り付け表どおりです。記事がはみ出すような場合でも、そのままゲラ出しするので、担当者自ら記事を添削するなり写真枠を調整したりします。

当社のデザイン・レイアウトは新聞組版セオリーとルールを遵守します
 次のB分類とC分類はちょっと複雑で、どこまで依頼されるかで、当社の関与の度合いが違ってきますが、その場合に前提となるものが「組版ルールとセオリーの遵守」です。よい紙面はデザインに訴求力もありますが、それには様々な組版ルールとセオリーがあります。当社それの遵守を前提とすることをお伝えして取り組んでいきます。当社のお客様ではほとんどがこのBもしくはC分類にあたります。

記事の字数、本数、写真枚数を確定してお任せのCタイプ
 まずC分類の場合、前もって提出された、お客様のページ割表(ページの割り振り)に合わせて組むので、出稿時のアキ、はみ出し予測が大幅でなければあまり問題なく進むことが多いです。大幅なはみ出しが予測される場合は、前もって打ち合わせしておきます。記事内容に力を入れているタイプですね

Bタイプは紙面イメージを一致させることが大事
 さて、一番難しいのがB分類のお客様です。B分類はある程度の割り付けと仕上がりイメージある場合ですね。当社は基本的にいただいた割り付けイメージに沿って制作しますが、ただ先ほどものべましたように新聞組版には一定のルールがありますので、ある程度キッチリ書かれていても、禁則事項にかかったり、文字数・写真点数など紙面都合上の制限で、最初のイメージが多少変わってきたりすることもあります。最初のコミュニケーションが大事になってきます。

皆さんはどのタイプ?
 お客様でもその時々の編集部のタイプやカラーで様々ですね。最初に紙面イメージがあって、文字数も指示通り確定されれば、Aに近いBとなり、禁則事項が多いデザインレイアウトに時間を費やすより紙面企画(アンケート特集など)や取材・記事集めに力を入れたほうがいい、という判断の方は「丸なげのC」と言われます。さて、みなさんはどのタイプ?

 



委員長さんは意見をまとめるのが大変!?【編集サロンです】

紙面づくりはそれぞれの立場で『3つの視点』が…

 久々の編集サロンです。みなさんから寄せられたご意見やご質問にお答えするコーナーです。年度初めもでもあって、今回はアンケートのなかで広報委員長さんを経験された方からの一番多く寄せられたお悩み、つまり意見の不一致の調整についてです。

3つの視点イラスト委員会では役割の違いを意識したルールづくりが大事
 分担した取材担当者のイメージが紙面に反映できてない。他の記事とのバランスが悪い、記事が削られた。とくに「イメージが違う」というのが多いですよね。「イメージ!?」…って。広報委員長さんは委員の皆さんの意見をまとめるのに苦労されてますよね。フジイ企画ではこうした皆さんの意見を集約して紙面づくりをお手伝いするのが本領なのですが、今回はそうしたことをみんなで解決するルール作りのお話です。

委員さんの数だけのイメージや意見がある
 紙面づくりの途中で色々な意見(やイメージ)の違いが出た場合、委員長さんは、他の委員さんとの仲間意識があるので、できるだけ調整しようとします。でも、あちらをたてればこちらがたたず…。こんなことを言ったら身も蓋もない話ですが、この話は容易に解決できません。なぜなら紙面づくりについては、委員さんの数だけのイメージと意見があるからです。でも解決不可能というわけではありません。ただ、ぶっちゃけ、誰かが〝責任〟と〝権限〟をもって交通整理しなければなりませんよ、というお話です。じゃあ、誰がそれをするのかということと、それをするにはみんなが納得するルールがいりますよね。

『3つの視点』(①読者の視点、②取材担当者の視点、③編集者の視点)について
 ところで発行された紙面について話し合ってみましたね。発行後なので色々な意見があったでしょう。「よかった」「うまくかけた」「思った通りにならなかった」。でもその意見を分類してみると、大まかに『3つの視点』(立場)があります。それは①記事を書いた人(取材者)の見方、②編集者(レイアウト担当者)の見方、そして③読者。この3つの視点です。

読者が納得する「いい新聞」って何かを考えて
 で、「いい紙面」とは何でしょうか?。みなさんが、意図して作った紙面が、読者に(文章も写真イメージも含めて)ちゃんと伝わったかということ。これを判断するのは読者です。つまり読者の大多数が納得する紙面が「いい新聞」の指標です。だから記事を書いた人やレイアウトする人の立場や、自分の意見や趣味を超えて、読者の視点で考えられるかどうかが大事なポイントです。

仲間の輪づくりは大事。でも、紙面づくりには役割と権限が必要です
 じゃあ、この紙面づくりに参加した人のなかで読者の視点持つことができるのは誰なのか、です。この3つの視点のうち、読者の視点に一番ふさわしいのは誰でしょうか?①読者は新聞づくりに参加していないので省くとして、②書き手か③編集者のうちのどちらかですね。まあ皆さんならどちらも掛け持ち…ということになるのでしょうが、やはり③編集者の視点が決定的に重要です。他のスタッフの意見を聞くのは大事ですが、キッチリ方向性をだそうと思ったら、そのうえで最終判断する権限(編集権限)が必ず必要ということです。

「書く人」と「編集する人」は紙面に対する役割と見方が違います
 新聞社では編集部門と取材部門が厳格に分かれています。これは単なる分担というだけでなく、明確に役割と権限が違います。取材者(記者)は、一生懸命取材して記事を書くので、足で稼いだ分、相当思い入れがありますよね。難しい取材であればあるほどそうです。つまり書いた記事に対しては『主観的』になります。でもそれが仕事なのでそれでいいのです。

プロの編集者は自分の意見や趣味を超えた読者目線を持ちます
 じゃあ、それを評価するのは誰? 当然読者ですが、部内の読者はまず編集者ですね(書いた人と違う人)。編集者の役割は上がってきた記事を読者の視点で『客観的』に見直して紙面構は成するのが仕事です。ここでは取材者(記者)はレイアウトはおろか〝見出し〟をつけることすら許されていません。取材した人が一番力を入れて書いたところでも、読者の関心を重視して面白くなければバンバン削っていきます。それだけの権限をもって仕事をしています。でなければ読んでもらえる紙面にならないからですね。

ちょっと責任重そう…だけどこれができれば委員会にメリハリが
 でも、皆さんはプロではないので、そこまでの判断もできないし、権限を与えられているともいえませんよね。だからこそいつも難しい課題なのです。これを解決するにはある程度ルールが必要なのです。ひとつの有効な方法は、先ほどの視点の違いということを念頭に置いて、書き手は自分の記事はレイアウトしないこと。そうすれば違った視点で見直すことができます。そして書き手は記事の中身に関することを除いてはクレームを出さない。レイアウトする人は自分の趣味にこだわらない。そしてみんなで論議して確定したことの最終調整は委員長(編集長)に一任するという、決めごと(ルール)を最初につくっておくことも大事ですね。ちょっと責任が重そうですが、権限と分担をつくることで委員会にメリハリができます。

 フジイ企画の仕事の一つは、皆さんの意見をできるだけ反映しながら紙面づくりをお手伝いすることです。でもお話ししたように全ての意向に沿うことはできないこともありますよね。その場合は、そう判断した根拠を必ずお伝えしますし、それへの解決策も提示しますので安心してご相談ください。



広報紙はモチベーションツールの一つです【第3回紙ブログ新聞セミナー2015より】

〝あきらめない心〟が育つ紙面のコミットメント効果

―広報紙をモチベーションツールに変える…―
 新年度を迎えてから一ヶ月、フジイ企画でも年度末~年度初めの慌ただしさはようやく落ち着いてまいりました。こんな中の4月24日(金)、第3回目の『新聞セミナー』を開催いたしました。ただ、皆様へのブログ・FBでのセミナー内容のご案内期間が非常に短く(2日)なってしまい、ご迷惑をおかけしました。
 このセミナーでは、『新聞の編集の仕方』などの日ごろ携わっておられる方へのノウハウ的な側面ではなく、新聞発行する意味や効果について参加いただいたお客様と一緒に学んでおります。

広報紙は「コミットメント」の役割がある
 今回のテーマは「あきらめない心が育つコミットメント広報紙」。先日、NHKのEテレで毎週やっている『オイコノミア』という経済番組で「あきらめない経済学」というテーマがありました。内容は目標達成にむけて挫折を防ぐ方法として『コミットメント』を使うというもの。「コミットメント」とは「責任を持った約束・公約」という意味ですが、広報紙にはこの「コミットメントとしての役割がある」という視点で今回のセミナーは進めていきました。

「コミットメント」とは外部に公約・宣言すること
 例えば、神社に行って絵馬に「○○大学に合格 藤井寛」などと書きますね。願いを言語化することで、責任と方向性が出てくるのですが、願い事に必ず自分の名前を書くというのがネックです。名前を記すことで単なる神頼みに終わらず、結果的に「自分はこの願いを実現する」という、外に対しての約束(宣言?)になるんですね。プロスポーツ選手や有名人のマスコミでの発言は、(不用意な発言であっても)ほぼ全てがコミットメントになります。だから言葉に気をつける必要が生まれてきます。

広報紙こそ「願いを実現する」パワーツール
 広報紙に現在の取り組みや各部署の横顔、イベント報告などの記事を書くということも、組織の性格や進む方向性を外部に宣言することですね。つまり広報紙を発行すること自体が「コミットメント」ということになります。それは単に広報宣伝ツールにとどまらず、今後の計画の実現に向けての推進力となり、モチベーションアップやモラルアップになっていきます。逆にいえばそのことの効果の方が宣伝効果より価値が大きいかもしれません。

「会議内容を公開する」ってこわい!?
 当社では月1回、システム改善や売り上げアップを目指して『早朝営業会議』をやっているのですが、これをブログニュースで連載記事にして公開しています。実際の会議内容はシビアな数字の話もあり、公開するには不都合な話もあります。当然、内容は議事録やメモに残してあるのですが、「え、これを公開するの!?」。いえいえ、当然公開する記事は議事録とは違う性質のものです。

「読まれること」を前提にすると何が起こる?
 「他人に読まれることを前提」に書くとどうなるか。良きにつけ悪しきにつけ、目標に対しての今の時点での課題や到達点をまず正確に把握する必要が出てきます。この一連の作業から新たな課題や目標が明確になりますが、それを書くことで読み手(世間)に対して「やる」と宣言することになります。これが「コミットメント」の効果なのです。

「(頭の)中のこと→出す→整理する→公表する」が今年のテーマです
 これまで3回のセミナーの流れとして、まずメモでも何でも頭の中で考えていることを書いてみようという話から、次にその脈絡無いメモの内容を整理してみようという話に進み、そして今回はその整理したメモを外に出してみよう(コミットメント効果について考えよう)と学んできました。ゆっくり進行しているので、以前までのセミナー内容と重複する部分もありますが、少しずつ前に進んでいるつもりです。復習もしながらですので、初参加の方も問題ありません。ご都合が合えば是非ご参加くださいね。(な)



普段の手帳と日報から広がる世界【第2回紙ブログ新聞セミナー2015より】

各種記録とメモから思考の組織化が始まる

20150414 気候もすっかり暖かくなり、過ごしやすくなったと思ったらまた一段と寒くなりましたね。この3月後半は統一地方選挙の宣伝物の制作が集中してなかなか段取りが苦しかったのですが、、先日4月3日(金)に第2回目の『〝紙ブログ〟新聞セミナー2015 』を休むことなく開催させていただきました。当初は3月27日の開催予定でしたが、今回も一緒に学んでいる細川さま(建設コープ)のご都合もあったので、日程変更をさせていただきました。このセミナーは当社スタッフの学びの場でもあり、現在の到達点からの最新情報になるので皆様もお気軽にご参加ください。

言葉によってアイデンティティや「世界」が形成される
 今回のテーマは「普段の手帳と日報から広がる世界」として第1回目に引き続き「書くこと(=表出する)」について考えました。簡単に前回の内容をおさらいしますと、人の生活はいかなる場合も言葉によって成り立っていること。それを表に出す(表出する)ということで自分のアイデンティティや「世界」が形成されるということでした(ちょっと哲学的?)。これは新聞づくりに限らず基本的な営みだということを知りました。なので、まずは頭の中で考えている事を外に書き出す。それを習慣にするところから始めてみようというお話でしたね。

無意識に「筆記具を持っている」ことに焦点をあてて
 今回は、普段日常的にしかも無意識に行っている「書く」ということから見直してみました。「一日にどのくらい筆記具をもつことがありますか?」という問いかけからです。例えば、まず電話のメモ、役所で書類を請求するための申請書、帳簿から始まって、会社での受発注伝票、入出金伝票、営業日報、業務・開発記録や議事録。…結構色々書いているのです。自分の手帳を持ち歩いている方なら、思いついたことのメモも書いているでしょう。次にそれらを「情報」という観点から分類してみました。備忘録として書いている電話番号や住所などの個人情報や受注ロット数、加工すれば情報提供できるもの(顧客カルテ、会議録=もちろんそのままでは使えません=、手帳のメモなど)に分けられますね。

各種記録の中に伝えられる〝ネタ〟が満載…だけど
 これを実際やってみると、人に伝えてもよい〝記事〟にする〝ネタ〟は結構たくさんあることに気がつきます。フジイ企画の場合、「早朝営業会議」や顧客との打ち合わせ、問い合わせ内容がある「顧客カルテ」からのトピックスなどを記事にしています。もちろんその記録がそのまま記事として扱えるわけではありません。〝新聞(広報紙)〟を発行するには当然これらの記録の見直しと整理が必ず必要になってきます。これって大変ですか?

最初は脈絡のないメモから創造がはじまる
 これは実は〝新聞〟発行以上の価値があるのです。というより組織の戦略(運営方針・経営方針)を考えるのと同じ経過をたどります。まず書かれた文章の整理=頭の整理→ひらめき→思考の組織化→「方針」。この「方針」は新聞づくりなら「編集方針」になりますが、経営理念や指針づくりと同じプロセスですよね。当社が新聞づくりをお勧めする理由もここにあります。つまり脈絡のないメモや記録から、中身を練る作業へ一歩進むということです。記事を練るということは、書こうと思っている内容(それは現在の営業の現状や成果であったり、会社の到達点や課題であったり)自体と向き合うということです。そうなれば新聞づくりにとどまらず、組織(会社)の方向性までも見えてくるはずです。ここから先が、方向性をもった組織(個人)へと動き出す一歩…ですね。(な)



言葉から創造がはじまる【第1回紙ブログ新聞セミナー2015より】

日々の営みで筆記具を持つことに注目してみよう

20150315 1月も2月も去ってしまい、年度末でどこもバタバタとする季節ですね。フジイ企画でも学校関係の納品を次々と終え、ほっとしたのもつかの間。いまは選挙宣伝物関係の仕事が入ってきています。ブログニュースも少し停滞気味…ご無沙汰しておりまして申し訳ありません。(な)

 

今年は「楽しく永続きする新聞づくり」をサブテーマに
 さてそんな近況ですが、2月27日(金)に第1回目の『〝紙ブログ〟新聞セミナー2015 』を開催しました。以前お知らせした通り、昨年度から続けていた『〝紙ブログ〟広報セミナー』の2015年度版ということになるのですが、今年は今までの内容にプラスして「楽しく永続きする新聞づくり」をサブテーマに、「新聞づくりって何」を少し掘り下げて考えていきたいと思います。

作文のプロではないけれど…
 新聞づくりといえば…テーマを考える?写真を撮る?レイアウトする?など色々なプロセスがありますが、大前提となるのは「文章を書く」、もっと端的にいえば「文字を書く」ことがスタートですね。新聞発行のためには定期的に記事(文章)を書き続ける必要がありますが、まとまった文章を作るなんて、作文のプロでもないのに難しい…と思って二の足を踏んでいる方がほとんどかもしれません。

〝書く〟ということを改めて考える
 今回は第1回目ということもあり、そもそも「〝書く〟ってどういうこと?」というところからスタート(テーマ名「言葉から創造が始まる〜〝書く〟ことで生まれる価値と方向性〜」)します。世の中にはブロガーと呼ばれる人がいたり、家族新聞などを楽しく配信したりする人がいますよね。「私たちもやっやってみたい」とは思っているけどなかなか取り組めないって人も多いので、今回はまずはここから…。

1日でどのくらい筆記具を使ってますか?
 今回は「新聞づくり」ということはひとまず置いておいて、まず日常的な「「書く」ということから検証してみました。ところで一日のうちに筆記具(鉛筆・ボールペンもしくはワープロ)を使ってものを書くことって、どのぐらいあるでしょうか?そして何の目的で?…。改めて考えてみると、人との会話のメモや日程の約束、会議の要約など、どんな人でも一日に1回ぐらいは筆記具を使っているようですね?

「書く」ことで頭にあることを「モノ」にする
 それは「約束を忘れないため」とか「思いついた」こととか理由は色々だけど、つまりは頭の中でしまいきれないことを外に出すってことですね。ちょっと飛躍した話になりますが、これを「外化する(藤井の造語?)」と言ってます。つまり書くというのは見えないものを外に出す=物質化する。紙に印刷された新聞も本も頭の中にしかなかった経験や概念を「外化」することでみんなで共有できる「モノ」に(物質化)することだと思っています。

世の中のすべての事象は「言葉」でできている
 その前に「言葉」ってなんでしょうか? 朝起きて夜寝るまで、毎日出会う人との関係や、嬉しい、悲しい、悔しいなどの感情、夜見る夢など、日常生活での出来事から思考が生まれ、それによって様々な感情を経験をします。この一連の心の流れも、よくよく観察してみるとすべて言葉を介していることに気が付くと思います。つまり言葉の存在がすべての生活を象っていて、これがなければ出来事や感情すら理解できない混沌状態…つまり「世界」は存在しないことになります。

「思考」を捕まえる作業が「書く」こと
 要は日々の暮らしは一人で孤独でいる時も含めて「言葉」で成り立っているのです。そこで、まずは頭の中で考えていることを書き出すところから始めてみてはどうでしょうか…という提案です。つまり無意識に流れる言葉を捕まえる作業が「書くこと」なのです。手帳に思いつくまま、とりとめのないことをメモしてみたり…(多分仕事なんかではきっとやってますよ)とにかく「書く」ことを習慣にしてみるのです。脈絡はどうでもいい。人に読ませることを前提にしていない「日記」なら毎日書いている人もいます。それでいいのです。

頭の中にあることを〝モノ〟の形に
 ここでお伝えしたいことは、重要なのは書いた「内容」ではなく「頭の中にあることを外に出す」ことなのです。自分の頭の中の混沌(モヤモヤ)を整理してからまとまった文章を書こうとするのはとても難しいです。なのでまず書き出してみるのです。そうして外に出したものは、自分から離れた「モノ」となって初めて客観的にみることができるのです。そこから新たなひらめきや方向性が生まれてくることを誰でも経験します。

〝ネタ帳づくり〟は創造の第一歩
 もちろん新聞や文学作品という形に落とし込むためには、「とりとめのないメモ」を脈絡ある文章へ整える必要があるのですが、それはまた別のステップということになります。思いついたものをすぐ書き出すということから、「それってネタ帳みたいなものやね」という話になりました。でも本当は〝ネタ帳〟以上の〝創造〟になります。いきなり記事作りは敷居が高いですし、まずは「ネタ帳づくり」からスタートしてみては?



共感=仕事以外のことを伝える【第10回“紙ブログ”広報セミナー2014より】

 もう12月に突入してしまいました。何かと気ぜわしく感じる時期ですね。フジイ企画でも年末の仕事を前倒しで取り組んでいるところです。11月28日は、年内最終の『第10回“紙ブログ”広報セミナー2014』を行いました。ワーカーズコープの細川社長には今回もご参加頂き、最新事例をもとに考えていきました。(キョーコ)

 
地域のコミュニティ紙に記事を投稿してみる!?
 この一年「ソーシャルメディアの発達した今、時代遅れに見える紙広報物にどんな効果があるか。ブログ・SNSを日常的にやっている人の紙広報物への取り組み方」を軸に、テーマ分けして進めてきました。今回のセミナーは番外編(よく番外編をしますが…)、『自社』を離れて、『地域のコミュニティ誌への投稿』といった一風変わった視点から、広報紙=新聞の意味を考えてみました。
 
広告記事は費用が発生します…ではなにを?
 地域コミュニティ紙といえば、広告ばかりを掲載した集合チラシの類とは異なり、地域に密着した生活情報をメインに掲載しています。自社新聞を発行する余力のない方は、ここへのコラム掲載などを申し出てみては…というお話です。「なんで?なにを?」。当然、自社の企業宣伝はできませんよね。「宣伝するなら広告料を払え」ってことになる。で、知恵を絞って、あえて生活情報として自分しか書けない記事を提供するのです。今回テーマは費用をかけずに本来の広報の力を試そうというものです。
 
で宣伝チラシと広報紙の違いを知ろう
 ただ、どんなコラムにすればいいかというのは課題です。その人(企業)ならではであって、地域の人に役立つ情報であるべきですから、ここはじっくり考える必要があります。自分の考え方やポリシーも大事です。こんな風に地域に密着した紙面に参加することから広報紙に取り組めば、宣伝と広報の意味がわかってきます。つまり、広報誌は単純に自社の商品・サービスを宣伝しているのではないということを…。では?
 
商品を買う決定要因は品質やブランド力ではない
 いつもお話しするのですが、『この商品(サービス)を買おう』と決定する第一要因はなんでしょうか。『商品の品質のよさ』や『企業の知名度』ではありません。ダントツが『担当営業マンが好きか嫌いか』(70%以上)です。つまり、商品購入のほとんどが、品質やブランド以上に営業担当者への信頼感が決定要因だということになります。広報紙のアプローチは、コミュニケーションづくり→信頼感→共感であるのですね。共感は本音のお付き合い。本物の時代はそこから始まります。そうした視点で紙面づくりに励みたいものです。
 
ブログに近い“新聞づくり”をめざして
 この一年『“紙ブログ”広報セミナー』と題してやってきました。この時代ならではの「広報紙づくりへの第一歩は、ブログを書くこと」が近道という趣旨です。ブログ、SNS(フェイスブックなど)を日常的にやっておられる方は、このコミュニケーション→信頼感→共感を経験的に理解されています。新聞づくりはそれに方向性(ベクトル)を示すこと。商品チラシとは違いますね。今回は、SNS(フェイスブック)→ブログ→HPの役割の違いと最終的にHPへフローも考えてみました。来年は『広報』という表現は抽象的なので単純に『新聞』という表現に変えてみたいと思ってます。またよろしくお願いいたします。



広報紙で“思い”を実現するナビ効果【第9回“紙ブログ”広報セミナー2014より】

  こんにちは。毎月開催してきた『紙ブログ広報セミナー2014』も、10月17日で9回目を迎えました。いよいよ来月で本年最終回となります。この2回は、「広報紙の本来の目的以外の効果」について、切り口を変えてお話を続けてまいりました。前回(第8回・9/26)では、『自己コンサルティング広報』?というテーマで、会社(組織)の企画や戦略づくり、ノウハウのマニュアルづくりなどの取り組みの成果アップには広報紙が効果的だというお話でした。第9回セミナーは、自分(自社)の想いを形に導く「ナビゲーション」効果について、今回も細川社長(ワーカーズコープ)とともに進めてまいりました。(な)

 
目標さえあれば自動的に導いてくれる効果って
 広報のナビゲーション効果? 前回のテーマ「自己コンサルティング」と切り口が似ているのですが、「こういうことをしたい」「こんな企業に…」という個人や組織のビジョンや目標があるなら、(広報紙で)それに沿ったカテゴリー=コラムを設定して継続するうちに、その目標に向かって自動的に導いてくれる…つまり車のナビシステムのような効果についてのお話です。
 
“思いを紙に表出することで見える地平線
 広報紙は基本的には定期発行が原則ですね。つまり継続したテーマで記事を書いていくと、これまでの足跡が目に見える形で残ります。今おぼろげでもやりたいことがあれば、まず言葉(文字)として表に出すことから何事もスタートしますよね。そこで頭のなかで色々と考えていることをまず外に出す。これを紙面の記事のコラムとしてやってみようということです。定期発行が原則の紙面でこれを続けると新たな地平線が見えてくることがあります。これは“思いの外化”と“あしあと(記録性)”の効果でしょうか。過去の積み重ねと経過が目に見えるから、「目的に向かってやってみよう」という気持ちにさせてくれます。
 
難しい課題も楽しく取り組める法則
 「何度も論議されていて“しなければならないこと”は大体“やりたくないこと”」と…うちの社長は考えているようですが、やらなきゃいけないと気負うより、自発的にやってみよう!と思うほうが当然うまくいいきますよね。実はこのテーマは、フジイ企画でもコラムで継続的にやっていて気づいた法則?でもあります。つまり、当初は「面白いかも…」ぐらいでコラムカテゴリーを立てただけなのに、継続するうちに思わぬ成果やアイデアが生まれたり、コラム自体のアイデンティティも確立するという効果です。
 
議論の経過を公開することで得た方向性
 これを自社の例で少し…。当社では千差万別な受注形態の見積もり価格を、可能な限り一覧表化してをネットで公開することになりました。でも、これまで当社の受注形態ではそんなことは不可能だと思っていました。ただ月1回開催している早朝営業会議内容を、毎月発行している『紙ブログNEWS』内のコラムに継続掲載することを始めてから、自動的に解決可能な課題となったのです。ラインナップとして受注前と納品後の取り組みの見直し→お客様のご要望ごとの分類の仕組み化→というテーマで順次掲載していく中で「価格表提示は必要」という命題に行き着いたのです。これは当初コラム立ち上げの時に予想していたことではありません。社内会議を議事録として残すだけだったとしたら、これ“永久課題”で終わったかもしれません。
 
目標の実現可能性などを考えなくても…
 今回のセミナーのタイトルヘッドはあえて“企業(組織)の…”という“冠”をはずしました。まず(個人の)思いをどのくらい表に出せるかということが大事なことですね。そういう意味で、今回のセミナーでは『経営指針を基礎に』とか、目標の“実現可能性”から考えるのをやめて、皆様が目的・目標にしたことや思いを“外化”することで導かれる効果をじっくり考えてみました。広報紙をたたき台に思いが実現する…これが、楽しく永続きする紙面づくりの本質に近いのかもしれません。
写真=読書談義を交えて…


広報紙発行は独自アイデンティティ形成に威力【第8回“紙ブログ”広報セミナー2014】

 9月も後半となり、夜はだいぶ涼しくなりました。2014年の『紙ブログ広報セミナー』も第8回目(9/26)となりました。今回も細川さん(ワーカーズコープ)とご一緒に進めさせていただきました。今回のテーマは「自己コンサルティング広報・広報紙発行は広報効果以上の価値」。毎回ホワイトボードにその日のテーマを貼っているのですが、細川さんが開口一番「自己コンサルティング???」。今回はこれまでの流れからこのテーマになったのですが、広報紙発行の目的は自らの企業(団体)の取り組みについて広く知らせることですね。ですが広報紙の効果と価値はそれだけではない。これが今回のテーマです。(な)

 
広報効果(読まれているか)だけを考えると続かない!?
 じゃあどんな効果が?という前に…。本来の広報紙の目的は、会社(団体)の商品・サービスや考え方を広く知ってもらおう…ということですね。ただ、それが読者にキッチリ届いている(伝わっている)かどうかを検証しようとしたら、実をいうとなかなか難しいのです。それが「手間の割に効果が見えない」として皆様が広報紙の発行自体を敬遠する理由の一つかもしれません。でも広報紙づくりづくりの意義はそれだけではありません。
 
広報紙の「記録性」という機能を利用して…
 広報紙の発行の取り組みを、もう少し別の角度で見てみようというのが今回の狙いです。過去のセミナーでもお話ししていますが、広報紙の機能のひとつに「記録性」というものがあります。ブログ・SNSは古いものはどんどん流れてしまいますが、広報紙は手に取れるカタチとして残ります。今回のお話は広報紙を利用して社内のスキル蓄積や、営業戦略作りそのものをやっていこうというものです。
 
「独自戦略」構築や「技術の伝授」「マニュアル」づくりそのものに利用
 広報紙を発行する本来の目的はひとます置いておいて、「自社の技術力アップ」、や「営業戦略づくり」のための皆様の取り組みを考えてみましょう。会社なら新しい時代を見据えて営業企画会議やら社内研修、また「ノウハウのマニュアル化」などいろんな取り組みをされてますね。今回は以前お話しした紙面の『コラム』化を利用して、文字通り「営業戦略作り」や自社の「スキル構築」「マニュアルづくり」にそのまま利用するのです。例えばこの「フジイ企画“紙”ブログNEWS」の中の、『早朝営業会議より』や今書いている『肌で感じる編集サロン』というコラムもそうです。
 
広報紙化で単なる“会議の議事録”を超えた生きた資料に
 『早朝営業会議より』は月に一度社内で行われる営業会議の内容について連載しているコラムです。いくつか読んでいただければ気づかれるかもしれませんが、これは単に会議の議事録ではありません。実際の会議では営業戦略についての到達点や問題点、社外秘の事項や生々しい話もあるのですが、それをそのまま掲載するのではなく、その時々のトピックスや自社特有のやり方や課題などエッセンスの部分を取り出し、加工して掲載しています。

読者の視点を通過する“戦略”や“ノウハウ”の大きな価値
 議事録と違う点とはなにかと言えば、社内で議論して練りこんだ内容でも「一般読者」を想定してポイントを絞って書き直すということです。広報紙として発行するためには、他の人が読んでも面白く・役立つような記事にするべきですよね。そのためには決まったことやノウハウでも内容を整理し、誰もがわかるようにする必要がありますね。この作業は思いのほか、会議のための会議から脱出して自己の振り返りになったり、新たな解決可能な課題が見えたり、そのものがノウハウになってくることになります。

心臓部のコラム化は組織の羅針盤づくりそのもの
 この広報紙の“記録性”という機能を利用して上記のように読者を意識して書いた記事は、簡単にまとめられていて、積み重なれば自身のテキストやマニュアルそのものに(しかも活字化されて)なります。私達も、会議を振り返るときによく『紙ブログ』バックナンバーを見て以前に構築したノウハウや決めごとを検証しながら進めるのです。これをまとめれば一冊のノウハウ本になります。つまり広報紙を継続すること自体が向かうべき方向の羅針盤となり、独自のアイデンティティが形成することにもなるのです。

10月は日程変更になります
 そういったわけで、今回は広報紙の「広報効果」とちがった価値についてお話いたしました。さて、次回セミナーは予定を変更して10月17日(金)18時からの開催となります。2014年度のセミナーも残すところあと2回(10月・11月)となりました。内容は1回ずつで完結するようにしていますので、初めてのご参加でも問題ありません。直前まで受け付けておりますので、ぜひお越しください!