長期的な制作は全体を把握して
弊社では広報紙制作を本業としていますが、小冊子、書籍などの編集も多くお手伝いしております(これらを総称してページ物と呼んでいます)。〝ページ物〟は、月刊・週刊などの定期刊行物のほかに、報告集や議案書、また企業・団体の記念誌など、大体8ページ以上の印刷物を指します。100ページを超えるボリュームのある書籍の場合は、一年以上かけて制作することもあります。今回は、その大まかな制作フローについて見てみたいと思います。
①編集の軸となるコンセプト作り
最初に、お客様から発行のコンセプトをお聞きします。発行目的、読者ターゲット、章立てや体裁(写真中心か、文字中心か?)の聞き取りをすることで、大体の記事数、写真数も確定します。ここで決めたことが後の編集の軸となります。イメージが浮かんでこない場合は、まずは載せたいコンテンツを先に洗い出してみるのも良いでしょう。
②台割で冊子全体のバランスを確認
次に、コンセプトに合わせた台割(だいわり)を作成します。台割とは、どのページにどんな内容を載せるのかなど、本全体の構成をまとめた設計図のようなものです。もともと台割とは印刷機の台数から割り出した用語で、最終工程に必要となるものですが、編集作業でも十分使えるので弊社では採用しています。
③紙面フォーマットで完成形をイメージ
台割が固まれば、それを元にデザインイメージのラフスケッチや、大まかな紙面フォーマットを作成していきます。制作工程の後半での組み換えは難しいため、お客様との間でのイメージのすり合わせが一番重要になります。同時並行で表紙イメージなども制作を進めます。
④寄稿依頼は早めに手配を
お客様側では台割を元に原稿集めを進めていただきます。例えば記念誌の場合は、写真や資料の点数が多くなりがちで、事務的な整理作業に結構時間がかかったりします。寄稿文を掲載する場合は、外部への原稿依頼も早めに手配しておくことが必要です。
大変だけど、思い出に残る一冊に…
以降、原稿ご入稿後は随時校正のやりとりをすすめていきます。これまでの歩みをまとめることは地道で大変な作業になりますが、きっと思い出と記録に残る大切な一冊となるはずです。
(社報『紙ブログNEWS』2023年秋 第53号)