委員長さんは意見をまとめるのが大変!?【編集サロンです】

紙面づくりはそれぞれの立場で『3つの視点』が…

 久々の編集サロンです。みなさんから寄せられたご意見やご質問にお答えするコーナーです。年度初めもでもあって、今回はアンケートのなかで広報委員長さんを経験された方からの一番多く寄せられたお悩み、つまり意見の不一致の調整についてです。

3つの視点イラスト委員会では役割の違いを意識したルールづくりが大事
 分担した取材担当者のイメージが紙面に反映できてない。他の記事とのバランスが悪い、記事が削られた。とくに「イメージが違う」というのが多いですよね。「イメージ!?」…って。広報委員長さんは委員の皆さんの意見をまとめるのに苦労されてますよね。フジイ企画ではこうした皆さんの意見を集約して紙面づくりをお手伝いするのが本領なのですが、今回はそうしたことをみんなで解決するルール作りのお話です。

委員さんの数だけのイメージや意見がある
 紙面づくりの途中で色々な意見(やイメージ)の違いが出た場合、委員長さんは、他の委員さんとの仲間意識があるので、できるだけ調整しようとします。でも、あちらをたてればこちらがたたず…。こんなことを言ったら身も蓋もない話ですが、この話は容易に解決できません。なぜなら紙面づくりについては、委員さんの数だけのイメージと意見があるからです。でも解決不可能というわけではありません。ただ、ぶっちゃけ、誰かが〝責任〟と〝権限〟をもって交通整理しなければなりませんよ、というお話です。じゃあ、誰がそれをするのかということと、それをするにはみんなが納得するルールがいりますよね。

『3つの視点』(①読者の視点、②取材担当者の視点、③編集者の視点)について
 ところで発行された紙面について話し合ってみましたね。発行後なので色々な意見があったでしょう。「よかった」「うまくかけた」「思った通りにならなかった」。でもその意見を分類してみると、大まかに『3つの視点』(立場)があります。それは①記事を書いた人(取材者)の見方、②編集者(レイアウト担当者)の見方、そして③読者。この3つの視点です。

読者が納得する「いい新聞」って何かを考えて
 で、「いい紙面」とは何でしょうか?。みなさんが、意図して作った紙面が、読者に(文章も写真イメージも含めて)ちゃんと伝わったかということ。これを判断するのは読者です。つまり読者の大多数が納得する紙面が「いい新聞」の指標です。だから記事を書いた人やレイアウトする人の立場や、自分の意見や趣味を超えて、読者の視点で考えられるかどうかが大事なポイントです。

仲間の輪づくりは大事。でも、紙面づくりには役割と権限が必要です
 じゃあ、この紙面づくりに参加した人のなかで読者の視点持つことができるのは誰なのか、です。この3つの視点のうち、読者の視点に一番ふさわしいのは誰でしょうか?①読者は新聞づくりに参加していないので省くとして、②書き手か③編集者のうちのどちらかですね。まあ皆さんならどちらも掛け持ち…ということになるのでしょうが、やはり③編集者の視点が決定的に重要です。他のスタッフの意見を聞くのは大事ですが、キッチリ方向性をだそうと思ったら、そのうえで最終判断する権限(編集権限)が必ず必要ということです。

「書く人」と「編集する人」は紙面に対する役割と見方が違います
 新聞社では編集部門と取材部門が厳格に分かれています。これは単なる分担というだけでなく、明確に役割と権限が違います。取材者(記者)は、一生懸命取材して記事を書くので、足で稼いだ分、相当思い入れがありますよね。難しい取材であればあるほどそうです。つまり書いた記事に対しては『主観的』になります。でもそれが仕事なのでそれでいいのです。

プロの編集者は自分の意見や趣味を超えた読者目線を持ちます
 じゃあ、それを評価するのは誰? 当然読者ですが、部内の読者はまず編集者ですね(書いた人と違う人)。編集者の役割は上がってきた記事を読者の視点で『客観的』に見直して紙面構は成するのが仕事です。ここでは取材者(記者)はレイアウトはおろか〝見出し〟をつけることすら許されていません。取材した人が一番力を入れて書いたところでも、読者の関心を重視して面白くなければバンバン削っていきます。それだけの権限をもって仕事をしています。でなければ読んでもらえる紙面にならないからですね。

ちょっと責任重そう…だけどこれができれば委員会にメリハリが
 でも、皆さんはプロではないので、そこまでの判断もできないし、権限を与えられているともいえませんよね。だからこそいつも難しい課題なのです。これを解決するにはある程度ルールが必要なのです。ひとつの有効な方法は、先ほどの視点の違いということを念頭に置いて、書き手は自分の記事はレイアウトしないこと。そうすれば違った視点で見直すことができます。そして書き手は記事の中身に関することを除いてはクレームを出さない。レイアウトする人は自分の趣味にこだわらない。そしてみんなで論議して確定したことの最終調整は委員長(編集長)に一任するという、決めごと(ルール)を最初につくっておくことも大事ですね。ちょっと責任が重そうですが、権限と分担をつくることで委員会にメリハリができます。

 フジイ企画の仕事の一つは、皆さんの意見をできるだけ反映しながら紙面づくりをお手伝いすることです。でもお話ししたように全ての意向に沿うことはできないこともありますよね。その場合は、そう判断した根拠を必ずお伝えしますし、それへの解決策も提示しますので安心してご相談ください。



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