様々な失敗から得られる教訓が共感をよぶ
読者は常識から八ズレていることがお好き!?
今回のテーマは「機関紙・企業紙でも事件記事を書け!」。ちょっと過激なタイトルですね。世の中の人は『社会ネタ(事件記事)』が結構お好きです。常識外れの事件、事故や、自分の身の回りで起こりうる〝最悪?〟の記事を好んで読んでいます。〝政治ネタ〟も〝経済ネタ〟も〝スポーツ〟でも同様に、理想とされる状態から軋(きし)んでいることに人は興味をもつようです。今回はこの『軋み』を扱うことがテーマです。
コミットメントが必要なワケは
前回のセミナーでは「広報紙はコミットメント(読者への約束、宣言)ツールになる」ということを学びました。今回は、じゃあ「なぜコミットメントが必要なの?」。つまり読者(お客様)に対してコミットメントしなければならない元の原因を扱おうということです。ここをハッキリさせなければ、読者が寄り付かない「発行することだけが目的」の自己満足新聞になるというお話です。
なぜ、記事が〝軽~い〟広告用キャッチコピーになってしまうのか?
例えば「お客様の安全・安心を第一にします」が会社のモットーだとするなら、それを経営理念としたワケがあるはずです。例えば、過去にちょっとした経費節減のためにお客様の安全を犠牲にした…とかね、ヤバイ話!? これは極端な例ですが、この「安全…」という方針や理念を作った根拠、つまりその象徴的出来事から新しい到達点へのプロセスを明らかするのです。そういう出来事(事実)と向き合って解決したことこそが記事の価値なのです。ここを抜きにすると軽~い広告用キャッチコピーになってしまいます。
『理想の状態』でないことがポイント
社会の様々な営みに対して『理想の状態』を設定すると、そこに至っていない課題がすぐ表れてきます。つまり企業でもコミュニティでも個人でも、ことの大小はあるけど、活動していれば毎日のように問題が起こってますよね。伝達や解釈ミス、日程遅れ、もめごとや事故など。もちろん起こらないにこしたことはないですが、でも逆に言えばそんな『理想でない状態』があってこその工夫、向上のプロジェクトが成立するのです。
これまで起こった『事件簿』は組織の〝宝物〟です
でもこれを書くって逆にイメージダウンじゃないの? そうですね。当然そうならないための基準は必要です。まずは「クリア(解決)したプロジェクト」だけを書く。普通(世の中と向き合っている)企業や組織なら、ミスやトラブル、様々な課題はその時々に解決し教訓としているはずですね。「起きた出来事をどう処理してきたか」の記録・記憶の数々が、その組織・会社のノウハウやスキルの本質なのです。つまりこれらの『事件簿』こそが実は組織の宝物。俗に言えば優れた『ネタ帳』なのです。
出来事の処理のプロセスに共感→信頼が
そんなプロジェクトの始まりと到達点を記述できた時、読者(お客様)に対して「この失敗はもう二度と起きません」「私たちは○○です」というコミットメント(=宣言)になるのです。同じ失敗を起こしてしまうと逆効果になってしまうのですが、そのことも視野に入れて「隠さず」コミットメントするということこそ、読者(お客様)からの共感から信頼、さらに応援へと発展していくことになります。
〝書く〟ことで混沌から創造へ、広報効果を超えて
こういった記事(=コミットメント)を日常的に発信するのに最適なツールが、実は広報紙なんですね。これが商品チラシとは明らかに違うところ。こうした視点に立てれば、ストーリー性のある記事ネタがたくさん転がっているはずです。それをすくい上げることは、実は広報効果どころか、組織全体のスキルアップ、企業文化の創造にまで発展します。つまり新聞(広報紙)づくりは、基本理念やマニュアル整備への一里塚。今は混沌状態でも、まず書くことからスタートしましょう。
第4回目のセミナーは5月29日の開催予定でしたが、参加者のご都合により6月5日(金)に日程を変更して開催いたしました。当日は常連参加の細川さんのほか、ちょうどこの夏のインターンシップの面接に来社されていた大学生も飛び入り参加、新鮮な雰囲気のなか進行しました。雨の中のご参加、ありがとうございます!