中国残留日本人孤児大阪訴訟5年の闘い『落葉帰根』

残留孤児の救済をいかに制度的に
確立していくかを問う

 中国残留日本人孤児の大阪での闘いを総括した報告集が大阪訴訟弁護団よりこのほど発行されました。

 全国各地で起こされた裁判での第1号判決。残留孤児敗訴の判決でしたが、その社会的影響力は大きく、マスコミでも大きく、そして批判的に取り上げられることとなりました。

 この裁判は、あらゆる意味で前例のないものでした。戦前の国策による最大の被害者である残留孤児たちの逃避行や肉親との別れ、戦後の歩み、帰国と帰国後の自立へ向けた努力に至る具体的な経過を、残留孤児たちの証言や数多くの資料から明らかにするものであり、膨大な「歴史」を「訴訟」という「土俵」に乗せるために様々な法的構成の試みが全国の弁護団で取り組まれ、その闘い方をめぐっては弁護団間でも熱い議論が交わされました。

 大阪訴訟判決をきっかけに、マスコミへの働きかけ、街頭宣伝など様々な活動が全国的規模で行われることとなり、国会議員の中にも新支援策導入への機運が高まって、最初の東京訴訟の提訴から、5年という比較的短い期間で、支援立法が制定されることとなりました。

 この報告集は、戦後60年ようやく帰国を果たしたものの、様々な形で日本社会で取り残された残留孤児の救済を、国の法的責任を明らかにするとともに、制度的にいかに確立していくかという課題と取り組みの成果を法律家の視点でとらえた報告書です。

編集発行=中国残留日本人孤児国家賠償訴訟大阪弁護団
A4判 122ページ
製作・印刷=編集プロダクション フジイ企画



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