儲からなくても来客に椅子をすすめ、
時間の許す人にはお茶をすすめ、
本にまつわる蘊蓄を語る
12月26日の土曜日、神戸市兵庫区神田町にある片岡喜彦さんの経営する『古書片岡』を初めて訪問しました。
毎月兵庫土建の『建設ひょうご』の編集作業があるため、最低1回は神戸に通っているのですが、いつも仕事が終わればトンボ返りで堺に戻らなくてはならないことが多くて、今回の初訪問は片岡さんが開店して8ヶ月目となってしまいました。
片岡氏は30数年労働組合の専従職を勤められて50歳になった時「古本屋になろう」と心に決めていたそうです。本好き、読書好きが行き着く願望が「あの番台に座りたい」ということで、本屋経営は実は若いころからの夢だったそうです。
ただ、驚くほど商売気がなく、ただそこに座っていて本に囲まれている生活をしたいがため開業したので、儲からなくてもよく、経営方針といえば「来客に椅子をすすめ、時間の許す人にはお茶をすすめ、本にまつわる蘊蓄を拝聴できれば」ということなのだそうです。
小さな店なので、専門分野もなく(本人の蔵書は社会科学系)、特別イチオシの本というのもなくて、ネット販売もしない。お金で汲々としている私らの感覚では、どうして成り立っているの…と思いますが、ここは片岡さんが友人にワープロで手紙を書いたり、同人誌『足跡』を生み出す書斎でもあり、よく考えれば誰しもが自分のスピリチュアル空間を現実再現化しているので、なんとなく理解できるような気はします。でも「本好きの人・本・心をつなぐ店」、このキャッチ、なぜか惹かれる言葉ですよ。
ちなみに私の弟(藤井游惟)が、国語学者の定説に異論を唱えて書いた『白村江敗戦と上代特殊仮名遣い』という言語学から日本国家の起源を考察した本を一昨年ころ出版しました。それを片岡さんの定年前に差し上げました。それを店に出されていたそうですが、その本は売れたそうですよ。
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